国家安全法の記事一覧

    香港のクリエイティブ産業が国家安全法で終焉を迎える

     香港のクリエイティブコミュニティは、新しい検閲により映画がブロックされ書籍が標的にされて文化大革命のようだと嘆いている。South China Morning Postが報道した。  香港で受賞歴のある映画監督のKiwi Chow Kwun-waiは先月のカンヌ映画祭で話題となったが、投資家は彼から撤退せざるを得なくなった。2019年の反政府デモの際に広く使用されたスローガンからそのタイトルを取った映画だ。  Chowは国家安全法の施行により逮捕される準備ができていると話した。映画の著作権は売却し、法的な影響を避けるためにクリップをすべて削除した。「全てが恐怖に包まれた。これ以上映画を香港の公の場で見せたり、地下上映場に持っていくこともないだろう」  彼は映画を制作したチーム、映画のためにインタビューを受けた人々、そして場所を提供した市民の生活を守りたかったようだ。  香港当局者と建制派はChowの仕事を調査し始めた。また国家安全法に違反したと思われる映画を禁止するためにガイドラインを改訂し、検閲を承認することになった。これには過去に発表された映画も含まれる。  香港のクリエイティブ産業が終焉を迎えることになった。中国当局の取り締まりを恐れるだけでなく、自分の仲間や協力者までもが連鎖的に逮捕されることまで気にかけなければならない。民主主義、そしてすべての自由が失われた。✒

    香港の図書館が国家安全法に違反する本を撤去する

     国家安全法に違反するとみなされたり、治安法に基づいて逮捕された人々によって執筆された書籍は撤去の対象となる。South China Morning Postが報道した。  香港の学校は夏休みの間に、香港の親中派メディアの標的となった書籍や台湾問題などを取り上げた書籍を撤去している。意外な所では、ジョージオーウェルのAnimal Farm(邦題:動物農場)なども含まれる。  どの書籍が禁止されるという明確なリストはない。ただ中国当局の取り締まりを恐れる図書館員が、慎重に検討した上で自主的に撤去しているだけに過ぎない。ジョージオーウェルの作品は、全体主義体制を描写していることから俎上に載ったようだ。  中国当局によって逮捕された野党政治家の書籍や、その他親中派メディアによって批判された本は危険にさらされる可能性があると図書館員は話している。「司書として、私達はもっと慎重にならなければならない」とSusanna Lau Po-shanは述べた。  少なくとも1つの学校では既に台湾の蔡総統の伝記が撤去され、別の学校では共産主義者に敗北した国民党兵士の歴史的記録が撤去された。元法務省の検察官であるEric Yung Tat-yeungが共同出版した人権と法的保護に関する本も撤去された。「権力者によって迫害されている」という本の一部の記述が問題となっている。  ベテランの台湾金融ジャーナリストが選挙について書いた伝記も撤去された。台湾が自ら総統を選ぶ国との記述があるからだ。中国政府は台湾を国ではなく自治州とみなしている。  香港から言論の自由が消えようとしている。中国政府が明確に禁じたわけではなく、香港人に取り締まりの恐怖感を与え自主的に撤去させようとしているのが一層恐ろしい。こうして香港は中国共産党に忠誠心を誓うようになるのだろう。✒

    バイデン政権が香港人数千人の米国滞在を許可する大統領令に署名

     米国のバイデン大統領は数千人の香港人に対して、一時的に退避するために米国での滞在を許可する大統領令に署名した。South China Morning Postが報道した。  この動きは、昨年に国家安全法が制定された後に中国政府が香港の野党議員や活動家を取り締まったことを受けてのものだ。ホワイトハウスのサキ報道官は「中国による継続的な弾圧に直面する香港の人々への強力な支援だ。中国は国際社会への約束を破った」と話している。  「私達は同盟国やパートナーと共に、中国が国家安全法を使用して基本的人権や自由を否定し、香港の自治権を攻撃し、民主的なプロセスや制度を弱体化させることに強く反対する」  「政治的な動機による逮捕や裁判、それに対するメディアの沈黙、野党に対する選挙への機会縮小などを踏まえて、私達は香港を支援する」  バイデン大統領の命令により、国土安全保障省は香港居住者に18カ月の居住ステータスを与え、米国での就労も許可することになる。F-1学生ビザを保持する香港人に対する制限も一時停止される見込みだ。  米国務省も中国当局が香港の反対意見を沈黙させ、保護された権利と基本的自由を抑圧し、政治的武器として国家安全法を展開することを懸念しているとLeon Tong Ying-kitが投獄された後に述べた。Leonはオートバイに乗りながら"Liberation(解放)"のメッセージが書かれた旗を掲げたために逮捕された。  米国務省のNed Price報道官によれば、今回の一連の措置は中国や香港当局による累積的な行動の結果だという。「我々は追加の取り締まり、基本的人権や自由に対する弾圧事件、香港の人々を攻撃する中国や香港当局の行動に応じて措置を下す」と話した。  バイデン政権が英国に続き歴史的な動きに出たが、間もなく制定される反外国制裁法を受けての大統領令と考えられる。8月下旬にも全人代で採択されれば、香港の自由は完全に失われてしまうだろう。✒

    香港の反外国制裁法はただちに施行されることはない

     香港は8月下旬に全人代で反外国制裁法が採択されても、ただちに制定されることはないという。香港に適応させるために現地の法律が必要になるそうだ。South China Morning Postが報道した。  この問題に精通している情報筋によれば、いくつかのビジネスリーダーやアナリストが注意を呼び掛けているという。法律の適用により香港を拠点とする多国籍企業の利益を脅かさないように当局に促している。  別の情報筋によれば、現地での立法過程で法律の施行に関する意見を評価するための時間的余裕が得られるという。  「外国人投資家やその他の利害関係者に対する説明の時間が必要だ」と情報筋は述べる。  反外国制裁法の手順にはビザの拒否や国外追放、個人資産の凍結などが含まれる。米国による制裁を遵守するように行動すれば、その責任を中国本土から問われる可能性があるのだ。  香港財務長官のPaul Chan Mo-poは、反外国制裁法が香港で適用されたとしても国際的な貿易、金融、海運のハブとしての地位を活かし続けることが重要だと述べた。  香港基本法の18条に基づき、Annex IIIに記載されている事項を除き中国国内法は適用されない。中国の最高立法機関であるNPC常任委員会が基本法委員会と協議した後、Annex IIIに法律を追記できるとしている。  香港で適用されている国内法の例は国章や旗、国歌に関する法律だ。香港で中国国歌法に違反すれば誰でも逮捕され最長3年間の懲役と50,000香港ドル(6,410米ドル)の罰金刑を科される。  香港の憲法となっている基本法を維持しつつも、Annex IIIに中国国内法を書き込むことで基本法を形骸化する流れと言えそうだ。国際的なハブとしての地位は引き続き享受したいとのことだが、あまりにも虫がよすぎる話だ。中国の代弁者による短い説明で外資企業の理解を得られるとは到底思えない。✒

    香港が反外国制裁法を採択すれば金融機関に影響が出る

     北京への4日間の訪問を終えた香港法務大臣のTeresa Chengは、反外国制裁法(Anti-sanctions law)が香港や中国への不当な制裁に対抗するためにのみ使われることを強調した。South China Morning Postが報道した。  Chengはこの法律が金融機関にどのように影響するかについての不安を和らげようとしている。この法律が香港の基本法に挿入されるかどうかについて明言を避け、悪い噂が立たないように注意を払っている。  「今のところ、あまり心配する必要はない」とChengはメディアとのインタビューで答えた。  中国本土への訪問時にはこの問題について精密に話し合い、あくまでも不当な制裁に対抗するためであり厳格に報復的なものだと強調した。  中国の最高立法機関である全人代常任委員会は、8月中旬に香港での反外国制裁法の採択を目指している。香港の憲法である基本法に関連条項を挿入することで実現されるというが、Chengは「詳細を出すのは早い」と話している。  昨年中国政府が香港に国家安全法を導入したが、Chengはそのような措置を講じる中央政府の権利をむしろ擁護した。  「香港基本法は全体的に、外交や国家安全保障、香港の自治権の範囲外の問題については中国国内法をAnnex III(附属書)に入れることを許可している」  Chengはまた、なぜ他国が香港に制裁を科すことができるのかと言い返した。特に米国を名指しして「覇権的かつ不合理で、法の支配を軽視している」と非難している。米国は当局者に香港での国家安全法適用に反対したが、Chengはそのような法律制定は国家の特権だと指摘した。  Teresa Chengは、昨年キャリーラム行政長官などと共に米国の制裁リストに加えられた。  香港の代表ではなく、100%中国政府の代弁者として動いているような印象を受けた。国家安全法に続き反外国制裁法が適用されれば、米欧諸国の企業や駐在員の一斉撤退が始まることになりそうだ。✒

    Popular

    テスラが中国のGanfengとリチウムバッテリー供給契約を結ぶ

     Ganfeng Lithium Coはテスラと契約を結び、2022年から24年まで水酸化リチウムバッテリー製品を供給すると月曜に明らかになった。  Ganfengは詳細を開示しなかったものの、実際の数量と価格についてテスラからの発注書に言及した。この契約はテスラとの長期的で安定した協力を強化するために有益であるとも述べた。

    テスラはまだHertzとの契約書に署名していないとイーロンマスク氏が明らかに

     レンタカー企業のHertzが大規模な取引について発表してから1週間が経過したが、テスラCEOのイーロンマスク氏はまだ契約を結んでいないと表明した。これによりテスラ(TSLA)の株価や5%急落して1,146ドルになった。  マスク氏は月曜遅くに「Hertzに基づいた情報だとすれば、まだ契約が結ばれていないことを強調したい」とツイートし慎重な姿勢を見せた。  ただし「Hertzとの取引は我々の経済には影響を与えない」とも付け加えた。  テスラとHertzは双方ともコメントには応じなかった。  HertzのCEOであるMark Fieldsは先週、注文に含まれるのは多くがモデル3だと明らかにしていた。モデル3の価格が44,000ドルから始まると考えれば、注文全体の価値は約44億ドルとなる。

    アップルがiPhone 13の生産を優先しiPadを後回しにする

     アップルはiPadの生産量を減らすことを決めた。日経アジアが明らかにした。世界的なサプライチェーンの停滞を受け、iPhone 13の販売に支障が出ないようにリソースとコンポーネントを優先的に割り当てることにした。  だがiPadの需要はパンデミックにより増加している。昨年は6.7%増の5,320万台のデバイスが販売され、世界のタブレット市場の3分の1を占めた。  iPhone 13シリーズはiPad miniと共通のチップセットのA15 Bionicが搭載されている。今回の減産により四半期のiPadの収益に影響が出る可能性をアップルは認識しているようだ。  アナリストはアップルの決定にさほど驚いていない。iPhoneが優先されるのは当然だとCounterpoint Researchの技術アナリストBrady Wangは話す。アップルのスマートフォン販売数は年間2億台以上であり、アップルのエコシステムの中心軸となっている象徴的な製品だからだ。

    アップルのHomePod miniが5色展開で購入可能に

     HomePod miniは印象的なサウンドを提供しながら、iPhoneとシームレスに連携し、Siriのインテリジェンスも備えている。スマートホームの基盤となるだろう。  HomePod miniは白とスペースグレーに加えてオレンジ、黄色、青の大胆な新色を展開させた。あらゆるスペースで個性的なスタイルを表現するためだ。価格はわずか99ドルとなる。  3.3インチの高さのHomePod miniは、小さなサイズのスピーカーで予想外に大きなサウンドを提供するための革新的な機能を搭載している。計算されたオーディオにより豊かで詳細な音響体験を提供し、あらゆる角度から素晴らしいサウンドを実現する360度オーディオで部屋を充実させる。  複数のHome Podスピーカーを使用すれば、ユーザーは家中で同じ音楽を再生したり、ステレオペアを作成して没入感を体験することができる。Apple Musicともシームレスに連携する。  iPhone 13 ProはHomePod miniと相互作用する。何が再生されているかを確認したり、パーソナライズされた音楽リストを提案したり、iPhoneが近くにあると自動で音楽を再生したりもできる。

    SpaceXのハロウィーン打ち上げが天候により延期される

     SpaceXはハロウィーンの日曜日に4人の宇宙飛行士を国際宇宙ステーションに打ち上げる予定だったが、NASAとの協議の結果大西洋の気象条件が思わしくなかったことから今週水曜に延期されたようだ。  NASAの報道官は打ち上げが11月3日水曜日の午前1:10ETになったとツイッターで発表した。ケネディ宇宙センターで行なわれる予定だ。  今回打ち上げられる宇宙飛行士は軌道に入り、既に働いている7人のメンバーと合流して科学ミッションに従事することになる。SpaceXにとって4番目の有人ミッションであり、民間宇宙飛行全体では5番目だ。  SpaceXが今回使うドラゴン宇宙船は合計30回の打ち上げに使われ、最大7人の乗員を運ぶことができる。そのまま宇宙ステーションにまで到達できる最初の民間宇宙船となっている。