カンボジアでは去年10月にデジタルバコンを発行し、リエルと米ドルの両方での取引をサポートするとした。インドネシアの中央銀行総裁も5月にデジタル通貨の発表について述べた。South China Morning Postが報道した。
中国は2015年のホワイトペーパーでデジタルシルクロード(DSR)構想を発表した。かつて中国のシルクが古代ローマに到着した時、それは女性のファッションブームを引き起こした。デジタル通貨がシルクの役割を果たすかどうかは分からないが、デジタル人民元は永続的な国際金融システムを織り成す可能性を秘めているという。
トロントに本拠を置くBlockchain Reserch Insutituteの最高経営責任者のDon Tapscottは「中国が中央銀行のデジタル通貨競争に勝利した場合、それをアフリカ全体や東南アジアに展開するだろう」と述べる。デジタル人民元が米国の覇権の終わりをもたらすかもしれないという。
DSRは一帯一路計画の重要なコンポーネントだ。共通するのは既存の銀行システムとの戦いだが、中国政府はデジタル人民元が解決策になり得ると考えているようだ。
アジアのビジネス戦略に詳しいロサンゼルス企業CEOのStanley Chaoは「銀行システムが貧弱な新興市場では、取引を完了するのに1週間かかることがある。中国はデジタル通貨が解決策だと見なしている。仲介人がいないことから、取引手数料はほぼゼロだ」と述べる。アジアだけでなく、アフリカや東欧、南米も関心を示す可能性があるという。
だが多くの国ではデジタル人民元ではなく、自国のデジタル通貨を発行することになりそうだ。カンボジアではデジタルバコンが2020年10月に発表され、ハイブリッドCBDCと表現された。インドネシアでもデジタル通貨が発表された。シンガポールではブロックチェーンベースの金融アーキテクチャによる5年間の実験を完了した。
今年の4月、中国と香港、タイ、UAEの中央銀行はデジタル通貨を展開するためのm-CBDCと呼ばれるプロジェクトを発表した。Swiftシステムを使用せずに、国境を越えた取引が実現できるという。Swiftはこの発表から3カ月後に「Swiftは中立で通貨にとらわれず、車輪の再発明にはほぼ利点がない」と主張した。
だがSouth China Morning Postは車輪の再発明こそが重要だと述べる。CBDCはビットコインによって促され、誰でも銀行を必要とせずお金を分散化させることができると実証した。「お金を再発明する時、それは世界の生態系を再考するいい機会だ」とブロックチェーンソフトウェア企業Consensysのアジア部門ディレクターのCharles d’Haussyは述べる。
デジタル通貨はSwiftの地位を目指し、デジタル人民元がその中心となっていくことが示されている。日米欧の先進国から相手にされていないアジア、アフリカ、東欧、南米などに浸透しながら賛同する国を増やしていくようだ。米国と中国の通貨における覇権争いはすでに始まっている。✒
