インドで最初に特定されたCOVID-19の亜種は、ベトナムのような以前は安全だった国々の防疫を破り始めている。South China Morning Postが報道した。
豪州やインドネシアのような国々は厳しい制限で対応してきたが、シンガポールは「我々の生活に取りかかる時だ」と示唆している。世界の他の地域がパンデミック後の生活に目を向け始めたことから、厳格な国境管理に依存するゼロ政策への批判が高まっている。
現在少なくとも80カ国で流行しているデルタ型変異株は、英国で最初に発見されたアルファ型変異株よりも感染力が60%強く、中国の武漢で最初に見つかった株よりも50%強いと言われている。他の変異株よりもワクチンへの耐性が強いと言われているものの、重症化は防げているように見える。
「ベトナムのように成功してきた国でも、ウイルスの封じ込めに苦労している。ウイルスに過剰反応するリスクを冒すことを考慮すべきだ」と西オーストラリア大学の疫学者であるZoe Hydeは述べる。
ワクチン接種率が1桁のままとなっているインドネシアとタイは、デルタ型の急増を受け特定地域に夜間外出禁止令を出した。香港では空港労働者がデルタ型の感染者として特定された後、居住ブロックを封鎖することになった。豪州ではニューサウスウェールズ州の当局が制限を発表した。
ケント大学のウイルス額の名誉上級講師であるJeremy Rossmanは、英国の高いワクチン接種率は犠牲者の増加を鈍らせるものの、欧州の祝福の夏への希望を打ち砕く可能性があると警告した。
豪州では2022年半ばまでに国境が再開する可能性は低く、NZでは再開のスケジュールさえ定めていない。香港当局は検疫を7日間に緩和すると発表したものの、万が一デルタ型の市中感染が見つかった場合は変更される可能性があるとも述べた。
シンガポール政府の大臣グループは、社会がCOVID-19と共に暮らすことを学ぶ必要があると認識している。「我々の生活を続けるために、疲れた人々のために戦う」
シンガポール国立大学の感染症専門家であるHsu Li Yangは「病院や医療システムが圧倒されるのを防ぐために必要なワクチンの適用範囲は、現在のところ不明だ。デルタ型変異株が存在する英国や米国、その他の国での今後半年間が重要だ」と語った。
この議論の最大の問題点は、ゼロ戦略とワクチンで共存する戦略のどちらも破綻した場合の選択肢が存在しないことだ。ワクチンを使わない形での共存は考えられないという認識が主流となっている。それが正しいかどうかを証明するのが、英国や米国の状況ということになるかもしれない。✒
