豪州や英国に亡命中の香港人は、活動を継続しようとしている。彼らを受け入れる西側諸国は、難民の地位を与えるために詳細な手順を進めている。South China Morning Postが報道した。
Teddyが去年香港で小型スピードボートに乗り込み台湾へ脱出した時、その数カ月後に米国への亡命を求めるとは思いもしなかった。去年6月に香港が国家安全法を成立させてからわずか数週間後に逃亡した。荒れた船に乗って生き残った彼は、弁護士を通じて台湾での滞在を申請した。
彼の計画は、土木技師として新しい生活を始めることだった。台湾当局は彼のためにアパートを提供し、香港の家族との接触も遮断された。その後彼は台湾に留まらず、劇的な脱出劇を再び演じることになった。今年1月、Teddyは台湾が発行した人道ビザで米国に到着し亡命を申請した。
過去2年間に豪州、英国、米国、カナダ、ドイツ、NZで約470人が難民の地位を求めたことが分かっている。最大のグループは豪州にあり、2019年6月から今年5月までの間に305人が難民申請を出した。英国でも121件の申請があり、今年最初の3カ月だけで35件の申請があったという。
ロンドンの東洋アフリカ研究学院(SOAS)の中国研究所所長であるSteve Tsangは「彼らは本当のリスクに直面している」と述べる。香港人が海外で亡命を受け入れられるのは容易ではないと付け加えた。それは不確実な新しい生活の始まりに過ぎないという。抗議活動をしていたとする証拠をほとんどの人が用意できないからだ。
19歳のソフィアは英国で2回目の面接で亡命の裏付けとなる証拠提供を求められたが、写真やビデオなどを何も保持していなかった。多くの任務は催涙ガスでやられた仲間を地下診療所で治療することだった。英国の大学に通うための申し出も確保したが、留学生のための料金は高額であり香港の家族の助けも得られない。また英国では許可が出るまで働くことも許されない。
過去に英国で亡命を申請した100人の香港人のうち、受け入れられたのはわずか3人で7人は却下され、20人は自ら申請を取り下げたという。残りは審査待ちだ。
西側先進国は香港と同じかそれ以上に生活費は高く、学生であれば学校にも通わなければまっとうな人生は歩めない。学費はおろか生活費も工面できず、英国政府の助成金に頼って生活するなど厳しい状況だそうだ。何より亡命後も当局の影を気にして、罪悪感に苛まれるだろう…とSouth China Morning Postは述べる。
西側先進国には中国本土の留学生も多数存在している。もし香港人の亡命者だと分かれば、当局へ通報されるかもしれない。そうした恐怖感を抱えながらこれからの数十年を生きるのは、想像を絶する厳しい道のりと言える。✒
