11月 23, 2025

    英大手不動産企業Knight Frankのアジア太平洋6月レポート

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    テスラが中国のGanfengとリチウムバッテリー供給契約を結ぶ

     Ganfeng Lithium Coはテスラと契約を結び、2022年から24年まで水酸化リチウムバッテリー製品を供給すると月曜に明らかになった。  Ganfengは詳細を開示しなかったものの、実際の数量と価格についてテスラからの発注書に言及した。この契約はテスラとの長期的で安定した協力を強化するために有益であるとも述べた。

    テスラは頭金0%で自動車を購入するためのリースの仕組みを導入する

     テスラが頭金なしで自動車を購入できる新しい仕組みを中国で導入した。週末にオンラインコンフィギュレーターを更新し、オンラインで車両を購入する際の新しいオプションを追加した。  テスラは現在現金、ローンに加えテスラファイナンシャルリースという選択肢を用意している。一定の頭金を支払った後、毎月の分割払いが行なわれて使用権を取得できる。  顧客は0から50%の頭金を支払い、期間は12カ月から60カ月を選択できる。これによりモデル3スタンダードレンジプラスを月額737ドル程度でリースできるようになった。  テスラCFOのZach Kirkhornは最新の決算発表で、EVメーカーの目標は価格を下げることであると強調した。生産コストを削減するだけでなく、購入資金の調達方法も重要だという意味だ。

    テスラモデル3のハンドル加熱機能が発表される

     中国のテスラユーザーが「中国のモデル3のスタンダードレンジプラスにハンドル加熱機能は搭載されるのか?」とバイスプレジデントのTao Linに訪ねたところ、近い将来に実装されるとの返答があった。  現在中国で販売されているテスラモデル3にはスタンダードレンジプラスとパフォーマンスの2種類があり、後者にはハンドルヒーターが標準装備されている。スタンダードレンジプラスにも機能自体は搭載されているが、ソフトウェアシステムがアクティベートされていないようだ。  ハンドルの加熱機能はドライバーが暖房を過度に使うことを防ぎ、走行距離を伸ばせるという点で重要だ。電気自動車では特に。  テスラは2020年9月に、モデル3のスタンダードレンジプラスで後部座席暖房機能も利用できると発表した。アップグレードによりわずか370ドル程度で使用できるようになる。今回のハンドルヒーター機能も同様の価格でアクティベートされるものと期待されているようだ。  

    中国経済の8月の減速により香港株が急落する

     中国恒大集団(Evergrande)が債務危機で7年ぶりの安値を記録する一方、中国経済の大幅な減速を示す統計が出て香港株が下落した。South China Morning Postが報道した。  ハンセン指数は月曜にフィンテック規制の強化への懸念から2.3%下落した。ガーデンサービスとスポーツウェアメーカーのLi Ningは1.5%下落した。Evergrandeの9.8%下落は特に深刻な状態だ。年初からの落ち込み率は80%になった。  Bloombergのアナリスト推定によれば、中国の先月の小売売上高、工業生産、投資のすべてが鈍化したという。中国政府は水曜の午前10時に統計を発表するが、予想よりさらに悪ければ香港市場に影響を与える可能性がある。  相次ぐコロナパンデミックの規制と巨額の負債問題により、中国経済は減速が不可避となった。中国の異変を察知しつつ回避する動きが必要になるだろう。✒

    中国恒大集団の債務再編は回避不可能で苦痛を伴う

     アジアのハイイールド債とディストレスト債に焦点を当てる投資家は、3,000億ドルを超える負債を蓄積した中国恒大集団(Evergrande)に新たな資本増強を求めている。South China Morning Postが報道した。  市場の売り圧力と警告を封じ込めるのに苦労している同社は、主要資産の投げ売りを防ぐために債務を再構築しなければならないと一部のアナリストは述べている。複数の信用格下げがデフォルトの可能性を示している。  Bloombergは先週、金融安定開発委員会が債権者との返済期限交渉に関する同社の提案を承認したと報道した。  香港のSC Lowy Financialの最高経営責任者であるMichel Lowyは、ジャンク債と不良債権に焦点を当てている。「Evergrandeは存続すると信じているものの、何らかの形の債務再編はほぼ不可避と考えている」  元Cargillとドイツ銀行とトレーダーであるLowyは、リーマンショックの後2009年に投資銀行と資産運用会社を共同設立した。同社は今年上半期に世界で105億ドル、2020年には225億ドルのハイイールド債を取引した。  Bloombergのデータによれば、2025年6月に期限が到達するEvergrandeの8.75%の社債は金曜日に31セントで取引された。5月末の84セントから急落している。2022年3月期限の社債も99.6セントから35セントにまで落ち込んだ。市場は既にデフォルトやヘアカットのリスクを織り込んでいることになる。  徐々に世界で巨額負債の問題が報道されるようになってきたが、債券価格が既に75%暴落していることからデフォルトを織り込んでいるようにも見える。同社の隠れ負債が出てくる可能性もある。✒

     英大手不動産企業Knight Frankが、6月3日にアジア太平洋地域各国の不動産市況をレポートした。

    1.豪州

    Net Zero goal for new Sydney CBD buildings from 2026

    シドニーにおける2026年からのCBDビルの新しいゼロ目標

     シドニー市は、今後ホテルやショッピングセンターを建設または再開発するための開発アプリケーション(DA)は、今後豪州国立建築環境評価システム(NABERS)で最低4つ星を獲得する必要があると提案している。オフィスの場合は最低5つ星以上となる。

     2026年からすべての商用DAはどのようにして炭素排出量ゼロを達成できるかを実証する必要がある。この変更が適用された場合、ESGの懸念と将来のシドニーの持続可能な開発に重点が置かれることになる。

     ビクトリア州は地価税の引き上げにより賃貸用投資環境がリスクにさらされている。土地税率の引き上げを発表した最近の州予算に続いて、Build to Rent(BTR)プロジェクトの優先目的地としてのビクトリア州の地位が疑問視されている。ビクトリア州はBTRプロジェクトの土地税を50%割引にすることを発表していたが、引き上げにより部分的に相殺することになる。

     この変更により、ビクトリア州で目標リターンを達成することが困難になり、代わりにニューサウスウェールズ州に多くの資本が割り当てられる可能性がある、と著名なプレイヤーのGreystarなどが述べた。

    2. 中国本土

     中国本土の住宅市場は上昇を続けている。上位70都市の新築住宅価格は4月に前月比0.48%上昇し、3月に記録された0.40%から加速した。Tier 2の都市の価格は、2021年初頭に制限がさらに厳しくなったTier 1の都市に比べて力強い成長を見せた。住宅価格の上昇は今後も現在のままであると予想され、政府の最近の動きを見れば制御不能な市場が発生する可能性は低いと考えられる。

    3. 香港

     香港地元のJVが記録的な入札でCauseway Bay(銅鑼湾)の珍しい土地を取得した。価格は約198億香港ドル、あるいは1sqft当たり18,400香港ドルだ。これは110香億港ドルから172億香港ドルという市場の見積もりを15%以上上回る。1997年以降政府によって販売されたCauseway Bayの最初の商業サイトだ。

     この場所はHysanの既存のLee Gardens高級ショッピングセンターの向かい側に配置されていて、2027年ごろに100万m2のGFAビルが完成すれば、開発者にとっては相乗的な機会となる。香港の商業市場は数年前から圧力を受けているものの、強気の入札は市場の前向きな見通しを示しておりサイクルの底が近付いている可能性がある。

    4. マレーシア

     マレーシア国立銀行は5月の会合で、翌日物政策金利(OPR)を1.75%に据え置くことを決めた。この決定は多くのエコノミストに期待されていた。OPRはマレーシアがCOVID-19との全面的な戦いに入ったことにより歴史的な低水準にとどまっている。

     この動きは、過去12カ月間に実効家賃が下落した商業施設の家主や住宅所有者の救済になるだろう。2021年のIMF予測のGDP6.5%成長が引き下げられるリスクを考えると、金利は年末まで維持されるものと思われる。

    5. タイ

     タイの不動産情報センター(REIC)によると、バンコクの地下は21年の第1四半期に前期比2.20%下落し、2012年のインデックス開始以来初めての四半期ベースでの下落となった。5年間の平均よりもペースは遅いものの、前年比では依然として11.2%の成長となっている。

     この低下はバンコクの開発者が先行きの見通しに慎重になり始め、その結果新しいプロジェクト開発のための土地購入を遅らせたことを示している。ここ最近COVID-19の感染例が増加していることから、経済再開と回復はさらに遅れると思われ、短期的には住宅需要を圧迫する可能性がある。在庫を一掃したい開発者は、購入者にインセンティブを提供することを検討している。

    6. シンガポール

     政策立案者からの警告にも関わらず、シンガポールの開発業者の最近の土地入札は民間住宅市場の強気な見通しを示している。郊外のAng Mo Kioの土地入札の最高入札額は1 sqft当たり1,118シンガポールドルで、他の14の業者を打ち負かすことになった。次に高い入札よりも6.3%大きい。

     このプロジェクトは、この地域の新しい価格ベンチーマークとなる2,000シンガポールドル / sqftの販売価格で市場に出回る可能性がある。開発者がここ数カ月で在庫の減少と限られた土地販売に直面したことから、入札者は強気の側にあった。したがって今後数カ月の土地売却価格は引き続き上昇し市場のセンチメントに打撃を与えると予想される。

     豪州や中国は好調、香港やシンガポールは強気の入札、マレーシアやタイは感染例の増加による金融緩和政策や土地価格の下落という三者三様の状態となっている。COVID-19の抑制が想像以上に経済の回復に直結することが示された形だ。✒