キャセイパシフィック航空は歴史上最も厳しい時期に差し掛かっている。旅行の制限により2021年上半期に76億香港ドルの損失を出した。South China Morning Postが報道した。
上半期の旅客便の売上はわずか7億4,800万香港ドルだった。その代わり貨物事業がメインとなり、旅客事業の17倍もの規模となった。だがその収益も前期に比べて43%減少してしまっている。
前期の損失は98.7億香港ドルと記録的な水準だったが、これには一時的な減損とリストラ費用が含まれていた。調整後同社は67億香港ドルの損失を報告した。
「COVID-19はキャセイグループにとって引き続き重大な課題となった。我々の歴史の中で最も厳しい時期であり続ける」と会長のPatrick Healyは話す。
1月から6月までの旅客機の空席率は81.1%にものぼる。加えて早期退職や海外パイロットクルー基地の閉鎖、就労ビザの更新拒否などが重なり外国の客室乗務員の多くが去った。グループ全体の人数は25,600人から23,100人にまで減った。
世界的なパンデミックの再燃により、香港と他国の国境はここ半年は居住者を除き閉鎖された。最近になってワクチン接種済みの渡航者に対しては緩和されたが、中リスクの国からの渡航限定となる。キャセイは全てのスタッフに対して旅行の再開に備えるためにワクチン接種をするように命じた。
キャセイパシフィック航空はシンガポール航空と同様に国内市場が存在しないことから、厳しい経営状況が続くことになる。ワクチン接種済みだけを対象に国境を開いたとしても、感染が拡大すれば再度閉鎖となり再び厳しい状況に戻る。いつまでも同じやり方を続けることはできない。✒
