中国の昆明とシンガポールを結ぶアジアの鉄道ルートはラオスに恩恵をもたらさず、借金だけを残して世界遺産ルアンパバーンの地位を脅かす可能性がある。South China Morning Postが報道した。
中国の一帯一路構想として進められているラオス区間は、今年の12月に開通する予定だ。中国が414km分の資金59億ドルを提供するというが、この資金は将来的にラオス国民の負債になる。
この鉄道はラオスの北側の国境からタイとの国境にあるビエンチャンまで走る。完成すれば東南アジアで初の完成した一帯一路構想の路線となり、周辺国との貿易や観光を押し上げるとされている。特にビエンチャンの向かい側にあるタイのノンカイ県の企業は中国人の訪問に期待している。
タイでは新しいテーマパークやインフラの構築、通関手続きの見直し、訪問者による投資など様々な計画を提案しており、国境を越えて誘致するための貿易ハブにまでしようとしている。
だがこうした恩恵がラオスにもたらされることはない。経済的な後押しにはならず、中国への債務の返済に追われるだけとなる可能性がある。債務が返済できない場合は、ルアンパバーンの世界遺産などに手をつけなければならないかもしれない。
シンガポールのISEAS Yusof Ishak Insutituteのシンクタンク研究員のVannarith Chheangによれば、このプロジェクトは既にラオスのGDPの3分の1ほどの規模に膨れ上がっていて、中国への債務も15億ドルを突破しているという。
「中国は既に資産移転をするかどうかを検討している。ラオスが積み上げた債務の一部を延期または償却したようだ」と付け加えた。
こうした問題はタイ側でも発生している。ノンカイからナコンラチャシマーを経由してバンコクへと接続することになる。253kmの費用は50億ドルにも達するというが、タイの財政がCOVID-19により逼迫していることから資金提供について疑問が呈されている。
中国側の笑いが止まらないようなおぞましい話だが、ラオスはCOVID-19の感染も拡大の一途で医療は崩壊寸前となっている。事実上中国の一部として動かなければ世界遺産はおろか国家そのものが中国に吸収されてしまうだろう。✒