香港の税率は16.5%だが、国際的な税制改革により相対的に不利となる可能性が生じている。South China Morning Postが報道した。
米国のビジネスマンのNicholas Appelは、過去25年間香港に住み低税率を享受してきた。しかし都市部の生活費は高く、世界の最低法人税率が定まる中での増税の見通しから滞在を続ける価値に疑問を感じているという。
「我々は香港が好きだが、それを支える収入がなければ持続可能な居住場所とは言えない」とAppelは述べる。「税制改正による事業の収益性がマイナスになれば、滞在の価値を二度と考えなくなるだろう」
Appelの話は香港在住の他の外国人ビジネスマンの状況を反映している。グローバルな金融センターとしての香港の魅力に疑問を投げかけている。
だが多くのアナリストは中国本土に近いこと、強力な法制度、独自の兌換可能な通貨などが引き続き短所を上回っていると述べる。中国本土に出入りする資本の主要な導管であり、全体の70%を占めているようだ。
Appelは国際的な鉄鋼トレード会社のマネージャーとして香港に就任した。それから25年間、中国本土と世界中の建設プロジェクトとの間の取引を仲介してきた。COVID-19の脅威は、2008年の世界金融危機の記憶を呼び起こすものだという。
G20によって承認された新しい税制は2023年に発効する。香港の実効税率は16.5%であり15%を上回っているものの、特定の除外を用いることでこれまでは15%未満の税率を実現させてきた。よって新しい税制度の下ではその優遇措置が失われる可能性がある。
例えば企業収益の最初の200万香港ドル(258,000ドル)に対する税率はわずか8.25%だ。その金額を超えた分のみ16.5%を課すことになっている。新しい税制度では差分の6.75%の徴税権はグローバル本社の管轄地域に譲渡される。つまり企業はそれだけ余計な税金を支払うことになってしまうのだ。
Deloitte Chinaの税務パートナーであるJonathan Culverは「これは香港全体にとってマイナスになる可能性が高く、一部の企業は香港を撤退する可能性がある」と述べた。
香港の税制度の抜け穴とも言える8.25%の特恵だが、2023年からはそれが通用しなくなるのだ。そうなれば企業は本当に本社を置くべき場所を税制度以外の観点から選ぶことになる。税率以外ほとんど何のメリットもない香港が没落するのは必然と言えるだろう。✒
