習近平国家主席(以下敬称略)の明確な後継者は存在しない。来年のリーダーシップ改造で、習近平がどのように後継者育成に取り組むかが明らかにされる。South China Morning Postが報道した。
間もなく100周年を迎える中国共産党にとって迫りくる問題がある。それは継承の問題だ。例えば毛沢東は後継者を見つけるのに何度も失敗した。彼の最終的な選択肢だった華国鋒は、鄧小平にすぐ代わってしまった。鄧小平も後に同じ問題を抱えることになった。江沢民は党派閥間の妥協案を引き継ぐ前に、自分が選んだ2人の指導者を個人的に解任する必要があった。
鄧小平が引退した後に権力はより構造化され、リーダーは党書記長、国家主席、中央軍事委員会議長の3つのポジションすべてを保持した。党大会の時点で68歳を迎えた場合、政治局常任委員会から引退するという不文律に過去20年間の指導者は従ってきた。だが習近平は68歳になったばかりだ。
明確な後継者が見えないことから、来年の秋の改造の間は習が最高のリーダーであり続けることが期待されているようだ。党大会では、習近平がどのように後継者育成に取り組み党内の危機を回避するかが明らかにされる見込みだ。
ロンドンの東洋アフリカ研究学院中国研究所所長のSteve Tsangによれば、後継者が現れると党にとっての問題が発生する可能性があるという。「構造やプロセスが明確に定義されていない場合、潜在的に不安定になる可能性がある」と述べる。
後継者不在のまま長期的に権力を維持し続けるというのは、中国だけでなくロシアとも共通しているように見える。政権の安定こそが重要とされる今の世界では、危険な後継者争いに発展するよりは現状維持でいいというのが中国政府の総意かもしれない。✒
