上海のディナーショーで、中国電気自動車メーカーNioの創設者であるWilliam Liは顧客との握手やハグ、セルフィーに集中していた。46歳のLiは3時間で数百枚の写真を撮り、顧客とチャットしたり購入者にはクラブハウスや24時間のバッテリー充電サービスなどを提供している。The Straits Timesが報道した。
Liが目指したのは、アップルファンの忠誠心を持った情熱的な顧客と、テスラのイーロンマスク氏のような個性への崇拝の両方だ。テスラを1日おきに攻撃しているとも言える中国で、Nioが明確にテスラを目に見える競合として認識し始めた瞬間だった。
他の電気自動車企業がマスマーケット向けのラインナップを用意するのに対し、Nioはテスラと同様にプレミアムバイヤーをターゲットにするという。
中国は既に世界最大の電気自動車市場で、今年の販売台数は200万台に達した。NioのプレミアムES6 SUVは、テスラが去年製造を開始したモデルYと競合する。Nioは第1四半期に20,000台以上を平均価格68,000ドルで納品したが、テスラの場合は17,000台で平均53,000ドルだった。
テスラは最近中国で多くの困難に直面している。顧客サービスについての不満が止まらなくなっている。NioのLiは同社のアプリで所有者からの問い合わせに定期的に返信し、顧客に会うために中国全土を旅行して差別化を図っている。
だがNioの競合はテスラだけではない。中国のBaiduやXiaomi、ファーウェイなども今年の初めだけで電気自動車と自動運転に190億ドルを費やした。
Nioは一部の車が発火したことで大規模なリコールを実施し、最初の4年間で50億ドルの損失を計上した。2019年の第2四半期までに、同社は1日当たり500万ドルを失っていた。「それは最も暗い時期だった」とLiは述べる。Nioの売上は去年12月までに3カ月ぶりに10億ドルを突破したものの、未だに黒字化できていない。
テスラを徹底的にマーキングし、創業者自身の顧客対応で差別化を図るという以外に目立った特徴がない印象を受けた。テスラにしかない物は多く存在するが、Nioにしかない物を用意できなければ他の中国企業と同様の存在となり埋もれてしまうだろう。✒