香港デベロッパー新世界の補償が不動産価値を下げ、さらには住宅ローンの選択肢も減らしてしまうことになるようだ。だがそこまで大きな影響は及ぼさないという。South China Morning Postが報道した。
欠陥工事によりThe Pavilia Farm IIIの2つのタワーを取り壊すことになり、顧客への補償を開始することになった。該当の852戸を購入した顧客のうち半数以上が現金支払いを選択し、残り417人が建設完了後に支払うことにしていた。
新世界発展によれば、現金で支払う顧客は資産価値の最大7.6%に該当する補償を受け取り、建設後の支払いを選択した顧客は38万香港ドル(約48,900ドル)を受け取ることになる。
Starpro Agencyの創設者Raymond Chongによれば、この補償と建設の遅延により住宅ローンが再評価される可能性があるという。該当の欠陥タワーとなったブロック1と8については2024年3月まで9カ月遅れる。ただし購入価格が676万香港ドルから2,400万香港ドル(約87万~310万ドル)となることから、そういった事態が発生する可能性はごくわずかだと付け加えた。
新世界の広報担当者によれば、残りの5つのタワーについてはすべての香港の規制に準拠しているようだ。プロジェクトが完成するのは2023年で、3つのフェーズを経て7つのタワーが建設され合計3,090のユニットが供給されるという。
Centaline Mortagage BrokerのディレクターIve Wongによれば、透明性のある補償が発表された点に加え新世界発展は開発者として信頼できることから、銀行もそこまで非協力的にならないだろうという話だ。
香港中に衝撃を与えた今回の事件だが、購入価格が非常に高額な上に現金支払いを選択する人が半分を超えている。よって購入者は他にもいくつか不動産を所有している可能性があり、補償額があまり多くなくても不満はそれほど出ないものと思われる。香港の住宅不足事情を踏まえれば、資産価値が大きく下がる可能性は低い。✒
