中国の地方政府がEvergrande(恒大集団)の地方銀行支配権を希薄化することについて開発者に話した後、懸念が広がっている。Evergrandeがサプライヤーに発行したIOUを拒否する銀行の報告は、中国のSNSで話題となった。South China Morning Postが報道した。
中国内で最大規模かつ負債が最も多い不動産開発業者のEvergrandeは、現段階では否定的な状態から逃れることはできない。アナリストらによれば、去年末時点で670億元(1,041億ドル)の負債があった同社は流動性が逼迫している可能性があるという。だが投資家の懸念は、HNAグループと同じように一夜にして崩壊することだと彼らは述べた。
シンガポールを拠点とするLucror AnalyticsのクレジットアナリストZhou Chuanyiはこう述べる。「現段階でEvergrandeは新しいオフショア債を販売できない。不動産企業が倒産する最悪のケースとなれば、投資家はセクター全体に対する信頼と関心を失うだろう」
中国北東部の遼寧省政府がEvergrandeの支配権を希薄化するために、地方銀行に省資本を導入することについて中国メディアのCaixinが報道した後、Evergrandeに対する疑念は一層高まっている。
中国当局は、不動産企業が銀行関連会社を利用し融資を受けることを見越して、Shengjing BankとのEvergrandeの取引を精査するという。それにより同社は中国で資金調達することがほぼ不可能になった。
去年8月に概説された中国当局の”3本の赤い線”は、借入に関する3つの異なる制限を表わしている。70%の事前受領を除く負債対資産比率、100%の純負債/資本比率、および現金対短期負債比率だ。Evergrandeは3つの制限すべてに違反した唯一の中国トップ開発企業であり、債務の追加は許されない。
「Shengjing Bankとの取引はすべて法律に準拠していた」とEvergrandeの広報担当者は言い訳を並べた。
深圳を拠点とするEvergrandeの株価は今週約10%暴落し、今年のピークからは42%も暴落した形になる。債券市場でもここ数週間で急落し、2024年1月に期限が到来する債券の利回りが水曜日に23%を超えた。
投資家は過剰反応しているかもしれないが、Evergrandeへの信頼はしばらくの間低下したままだろうとZhouは語った。最近の事件だけでなく、企業の財政状態の低迷と負債の急増によるものだとも付け加えた。
中国のSNSでは「EvergrandeがCommercial Acceptanct Bills(CAB:商業引受手形)で支払いできず、間もなく倒産する」という噂が流れた。添付された写真では40万元相当のCABが示されていたが、すべて3月に期限切れになっていた。広報担当者は問題は解決されたと釈明したが、別のEvergrande関係者は解決されていないと異なる見解を述べた。7月にはさらに500万元分のCABが期限を迎えるという。
ただならない報道ではあるが、元々経営が怪しいグループの1つと言われていたこともあり、市場関係者は早くから気配を察知していたものと思われる。引受手形の不渡りが3月には起きていたにも関わらず、中国当局は問題を隠し続けている。✒
