オースティン米国防長官とのマニラでの会談により、フィリピンは23年間にも及ぶ「訪問米軍に関する地位協定(VFA)」を更新すると決めた。South China Morning Postが報道した。
フィリピンのドゥテルテ大統領は、昨年2月にはVFAを終了させると明言していた。180度の方針転換ということになる。ドゥテルテ大統領は2016年に当選して以来強い反米主義を掲げた。オバマ元大統領に対して暴言を吐き、中国への支持を表明していた。
だがここ最近のフィリピン海域への中国船200隻超の侵略により、方針を転換させてVFAを維持することにしたようだ。中国の侵略はフィリピン国民の怒りを煽り続けている。
シンクタンクのStratbase ADR InstituteのJose Antonio Custodioによれば、ドゥテルテ大統領はVFA終了の通知をせず判断も停止させていたという。米国を支持するフィリピン軍からの抵抗が真の理由であったとも推測する。70年前に締結された米比相互防衛条約はまだ有効であり、どちらかが攻撃された場合にお互いに支援する義務が生じる。
「フィリピン軍は親米の組織だ。米国の助成金に依存していて、幹部は米国で学んでいる」とCustodioは話す。
オースティン国防長官は「強かな米国とフィリピンの同盟は、インド太平洋の安定や繁栄に不可欠であり続ける。我々は完全に復元されたVFAを目標達成に役立てる」とドゥテルテ大統領に感謝しながら述べた。
フィリピン軍がドゥテルテ大統領の親中方針を阻止した形になるが、米国での政権交代の影響も大きいと思われる。バイデン政権のアジア太平洋重視の方針により軍事同盟関係は維持された。中国の漁船団が皮肉にも最後の一押しとなった形だ。✒