中国での生活費の高騰や不確実性の高まり、そして合理的でない長時間労働などを受けて新卒者が公務員を選ぶ傾向が強まりつつあるようだ。South China Morning Postが報道した。
25歳のAdam Xuは11月に実施される国家公務員試験のために、少なくとも1日12時間は学習している。彼の希望は故郷の広東省に戻り公務員になることだ。
公共部門で仕事をしたいという意欲が若者の間で高まっている。1970年代後半の改革開放期に進められたXiahai、あるいは”going down to the sea”という運動とは正反対の動きだ。若者の親世代は公務員ではなく起業家となり、ビジネスチャンスの”海”を探求するために公務員を辞める人々も多かった。
「今の海には十分な水がない。それどころか私達にはプールもない」とXuは述べる。
中国の新卒の若者が”鉄板碗”として知られる政府の仕事を奪い合っている。保証された雇用、安定した収入、予測可能な未来のためだ。昨年の国家公務員試験には合計157万人の志願者が殺到したが、ポジションはわずか25,726人分だけだった。60人に1人しか受からない狭き門だ。
最も人気があった国家統計局の広東支部は、実に3,334人に1人という凄まじい倍率だったという。
新卒者が公務員を希望する割合は急激に増えている。就職活動サイトのZhaopinによれば、昨年の2倍の割合となる11.4%が政府に就職したいと述べている。国営企業での就職を求める卒業生も36%から42.5%へと増加した。
「パンデミックの影響で、安定を追求する精神が強くなっているようだ」とZhaopinの広報担当のWang Yixinは述べる。
海外に留学した中国人学生もまた公務員を目指している。コンサルティング企業のIpsosによれば、海外卒業生のほぼ半分が公務員や国営企業、公共部門へと就職した。
若者の失業率も徐々に増えている。国家統計局の数値によると、6月の16~24歳の都市失業率は15.4%であった。都市の労働人口全体の5%に比べて3倍以上であり、9月以来で最悪の数値となっている。
経済成長率6%を誇る国とは思えない衰退ぶりが露わになった形だ。中国企業にはもはや未来はなく、激務を経験してまで挑戦をしようと思えないようだ。失業率も高止まりしていて、希望を失った中国人の若者がパンデミックで加速度的に増加している。✒