中国政府によると、中国の労働力は今後5年間で3,500万人減少するという。それを受けて定年を引き上げる方針を打ち出した。South China Morning Postが報道した。
10年に1度の人口調査によれば、2020年には15~59歳の年齢層が8億9,438万人となった。全人口の63.35%に該当する数字だが、2010年と比べれば6.79ポイントも減少している。
中国政府は2021年中に1,100万人以上の雇用を追加する通年目標を設定した。そのうち900万人が卒業生となる。だが中国の人口増加ペースは落ち、出生率は60年ぶりの低水準となっている。
専門家は長い間、中国政府に労働力の減少と急速な高齢化社会に対応するべきと警告を発してきた。今後数年間で経済発展を大きく圧迫すると予測されている。
加えて失業率も大きな問題となった。公式に調査された失業率は今年6月時点で5%だが、自営業者1億4,900万人と移民労働者3億人を含まないことから信頼できない統計と言われている。ほとんどのエコノミストが失業の影響を過小評価してると指摘している。
幅広い雇用指標を提供する先進国とは異なり、中国は特定の数値でのみ失業率を推定してきた。この統計手法には欠点があるとSouth China Morning Postは述べる。
中国政府は失業した際に政府に登録される都市労働者のデータを2018年に公開したが、そのデータからは域外から移住してきた移民労働者の統計は省かれている。さらに16歳から59歳の間でなければ失業者としてみなされない。
2008年から2009年の間に発生した金融危機では2,000万人以上の移民労働者が失業したが、表の失業率の数字が一切変わらなかったことから現実離れした数字となってしまったようだ。
中国の定年は過去40年間男性は60歳、女性は55歳、ブルーカラーの女性は50歳と規定されてきた。だが李克強首相は2021年3月の全人代で「法定の定年は段階的に引き上げられる」と述べ大きな批判を巻き起こした。労働力の減少は政策の結果であり、その責任を労働者の定年延長に転嫁するのは不公平との主張がみられた。
中国の失業率隠蔽の実態が浮き彫りになった形だが、それに加えて労働力減少となれば二重に苦しむことが想定される。統計から除外された膨大な高齢失業者や移民労働者は無視できないレベルで増えている。何も手を打たなければ経済はあっという間に衰退してしまうだろう。✒