タイの質屋のオーナーは、COVID-19の影響は1997年のアジア金融危機よりも悪いと話している。South China Morning Postが報道した。
1989年に事業を開始して以来、現在の危機に匹敵するものはないと彼は語った。「人々は質に入れる物がもう何もない。我々の売上高もアジア金融危機よりさらに悪い」と付け加えた。1997年の金融危機は数百万人ものタイ人の貯蓄を一掃することになった。
「少なくとも当時は、まだ仕事があった。今は何もかも失われた」
タイ銀行は先月、2021年のGDP成長予測を3.0%から1.8%に引き下げ、2022年についても暗い見通しを示した。7,000万人の人口のたった5%しかワクチン接種していない状態では、それも楽観的な予測に見える。
COVID-19の症例は前例のないレベルに急増していて、週末に初めて1日当たり11,000件の感染者を報告した。バンコクは今月初めから基本的に封鎖されていて、国内線の航空便はすべて停止し県境では厳しい検問が実施されている。
これにより昨年末から4月にかけて活気を取り戻した経済活動が崩壊し、果物や小物の売り手、マッサージ師など数えきれないほどの労働者が失業した。家計債務もGDP比率で危険とされる90%に達した。
プラユット首相は10月に国境を開くと約束したが、他国でみられるワクチン接種後の急速な回復でさえ夢のような話になるとタマサート大学国際ビジネス学部の准教授であるPavida Paranondは述べる。
タイの経済状況の深刻ぶりが伺える話だ。1997年の時と異なり、金融危機が去った後の回復も見込めるかどうかわからない。ワクチン接種率の低さ、外国人観光客への依存度の高さなどタイの弱点が浮き彫りになってしまったと言える。✒