シンガポール社交界の贅沢な生活ぶりや退廃的なファッション、パーティなどを題材とした小説が出版社との契約に成功した。South China Morning Postが報道した。
シンガポール生まれで23歳のKyla Zhaoは2017年にカリフォルニアに渡航した。今年スタンフォード大学を卒業し、コミュニケーション(メディア研究)の修士号と心理学の学士号を取得した。現在はVogus Singaporeのファッションとライフスタイルのライターを担当している。
昨年のロックダウン中に何か楽しい本がないかと探して回ったが、好みに合った物を見つけることができなかったという。それにより自分で小説を書くことを決意した。シンガポールを舞台として人々が都市国家の高等社会に浸る様子を描いた”The Flaud Squad”という本だ。
「パンデミックから現実逃避するために、楽しくてさわやかな本を書き始めた」とZhaoは述べた。「シンガポールを舞台にしてシンガポール人をキャラクターにしたのも、9,000マイル離れたカリフォルニアに住む自分と故郷を繋ぐ方法の1つだった」
16歳の時にHarper’s Bazaar Singaporeで働き始めてから、Tatler Singaporeを経て現在はVogue Singaporeにいる。上流社会の生活についての貴重な洞察を得ることができたという。
「一部のキャラクターや設定は個人的な観察の経験に基づいている。心理学を研究し、人々を動かす欲望や恐れを理解したことでキャラクターの立場を自分自身と重ね合わせられた」とZhaoは続けた。
彼女が情熱を傾けたプロジェクトが出版社との契約に至った時、興奮と共にショックを受けたという。オークションはシンガポール時間で午前2時に終了した。出版社はBerkley PublishingとPenguin Random Houseだ。
The Fraud Squadは2023年にリリースされるようだ。シンガポール人女性Samantha Songが名士の友人と億万長者の相続人の助けを借りて名誉ある”Fraud Squad(詐欺師団)”を構成するという物語だ。社会のはしごを登り上流階級の仲間入りをするが、その世界には暗部が存在することに気付く――。
Fraud Squadと言えば通常警察内部に配置される詐欺捜査班のことを指し、実際そうしたTVシリーズも存在する。だがこの物語の紹介文からすると”詐欺師団”と訳すのが適切なように思える。意図的に言葉の意味をずらして小説を書いた部分に妙味があるのかもしれない。✒