香港では260ft2(平方フィート)未満のナノアパートを購入するのも難しくなっている。中国本土からの移民は小さなスペースに高い家賃を払う羽目になる。South China Morning Postが報道した。
空港労働者のWong Ngは、中国政府が香港に2049年までに小さな標準以下の家をなくすよう求めていることを知っている。だが「2049年まであと28年もある。長くは待てない」と苦しい状況を訴えている。現在は妻と2人の子供と120ft2の狭い部屋に住んでいる。
Wongは中国江西省出身で、1988年に香港に移住した。その後中国の大学に通い、結婚して深圳で働いた後7年前に香港に戻った。自宅には34歳の妻、13歳の息子、3歳の娘のための2段ベッドと自分のためのシングルベッドがある。ダイニングスペースが小さすぎることから家族で一緒に食事はできない。息子はベッドで宿題をする。
香港は2049年までに住宅危機を解決しなければならないが、現実問題として可能かどうかは分からない。
「香港の教育システムは子供にとっていい物だ。こんなに小さなアパートに住むとは思っていなかったが、正しい道だと思っている」
賃料は月額6,800香港ドル(874ドル)で、光熱費は700香港ドルだ。パンデミックで勤務シフトが減らされ月給が9,000香港ドルになってしまった。状況が悪化すればさらに狭い場所に引っ越さなければならなくなる。
だが公営賃貸住宅への道のりは遠い。Wongの前にはおよそ15万人が順番待ちで並んでいて、平均待ち年数は5.8年だという。最長で22年待たされるケースもあるようだ。公営住宅に入れなければ、彼らは狭小住宅に月数千香港ドルを費やさなければならない。
COVID-19のパンデミックで香港経済は打撃を受けたが、皮肉にも不動産価格は上昇した。低金利の住宅ローンと景気回復の勢いを受けてだ。5月には2年ぶりの高値に達したという。6月には500ft2のマンションが香港島で944万香港ドル、新界で700万香港ドルの高値を付けた。新界でさえ日本円で1億円に届いてしまう。
香港の深刻な住宅事情が浮き彫りになった。120ft2はわずか11平方メートルだが、その空間に4人で住むとなると狭いどころの話ではない。公営住宅も絶望的に足りていないようだ。✒