高齢化社会や人口減少の懸念よりも、価値上昇の方が強まると機関投資家は判断しているようだ。South China Morning Postが報道した。
COVID-19の感染拡大やリモートワークによる都市部の空洞化といった懸念を抑えて、日本の住宅不動産市場が世界の機関投資家から選ばれるようになった。
Savills Investment ManagementはJapan Residential Fund IIの下で最近東京中心部や郊外、大阪中心部などの住宅市場で10の物件を取得した。合計金額は240億円(2億1,800ドル)にもなる。また4月から5月の間には、代々木上原や池袋、池尻大橋などで4つの資産を取得した。
フランスの保険大手AXAのオルタナティブ投資ファンドであるAXA IM Altsは、2011年の東日本大震災の被災地である仙台の県庁所在地付近にある2つのタワーマンションを購入した。合計金額は42億円となる。これにより日本でのポートフォリオの総額は714億円になった。
「首都圏の住宅市場は、これまで強い安定性と流動性を取引で示してきた」と日本のColliersのリサーチディレクターのKohei Kawaiは述べる。「シンガポールや中国などは人口の90%が自宅を保有しているが、日本では60~65%に過ぎない。つまり都市圏で賃貸に依存する人が多い」
Real Capital Analyticsによると、日本の不動産市場への外国投資は2020年には27億ドルから59億ドルへと跳ね上がったという。「日本はアジア太平洋地域で最大の住宅市場を持っていて、首都圏は世界最大の都市集積地だ。3,700万人の居住者が存在する」とSavills IMのグローバルCEOのAlex Jefffreyは話す。
アジア太平洋地域の責任者であるLaurent Jacqueminによれば、AXAの日本における資産は90%を占めているようだ。「多世帯住宅は日本では比較的成熟したセクターであり、過去10年間の平均で年間取引量の14%を占めている」
東京五輪が無観客になるなどCOVID-19のパンデミックは未だに存在しているが、投資家はこれらを長期的な脅威と見なす可能性は低いようだ。香港でも大規模なマンション欠陥が話題になる中で、本当に信頼できる国はどこなのかを投資家が理解し始めたのかもしれない。✒