今年5月の国際通貨における人民元のシェアはわずか1.95%だった。これは米ドルの40%はおろか日本円の3.18%にも及ばない数字だ。South China Morning Postが報道した。
中国の人民大学副学長のLiu Yuanchunは、中国は国際化戦略の一環として人民元のソフトパワーを高めることに焦点を当てるべきだと述べる。「国内市場を拡大し、主要技術の価格決定力を高めることで需要を生み出す時だ」と語った。
中国の人民元国際化指数は2020年には前年の3.03からピーク時に5.53にまで上昇したものの、9月には4.55まで落ちてしまった。世界最大の国際決済通信ネットワークのSWIFTでは人民元のシェアはわずか1.95%で、米ドルの40%、ユーロの34.4%はおろか日本円の3.18%にも負けている状況だ。
中国は2015年に国際通貨基金の通貨バスケットに人民元を含めることに成功したが、すぐに廃止されてしまった。それにより人民元のシェアの伸びは鈍化した。北京の学会はデジタル通貨で米ドルの支配を打破することを渇望しているようだが、現在の政治的状況を鑑みれば困難が伴う。
米国政府は人権問題とサプライチェーンの多様化で中国を政治的に封じ込め、人民元のシェアを落とすことに成功している。中国国内への投資は増加しているとLiuは釈明するものの、打開策は特に見出せていないようだ。
人民元そのものの国際化に失敗している現状では、デジタル人民元が登場しようとも飛躍的にシェアを増やすことは難しい。中国国内だけの閉じた空間で使われる地域限定の通貨に矮小化されるだろう。✒